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東京地方裁判所 昭和55年(ワ)13017号 判決

原告(選定当事者) 海老原栄一

(右の選定者は別紙選定者目録一記載のとおり) 原告(選定当事者) 永田正夫

(右の選定者は別紙選定者目録二記載のとおり) 右両名訴訟代理人弁護士 永瀬彩子

同 永瀬精一

被告 株式会社丸藤商事

右代表者代表取締役 遠藤専一郎

右訴訟代理人弁護士 石川隆

主文

一  被告は、原告海老原栄一に対し、別紙選定者目録一記載の各選定者に対する分として別紙請求債権目録一の認容額欄記載の各金額の金員及び各金員に対する昭和五六年四月一日から支払ずみまで年五分の割合による金員を、原告永田正夫に対し、別紙選定者目録二記載の各選定者に対する分として別紙請求債権目録二の認容額欄記載の各金額の金員及び各金員に対する昭和五六年四月一日から支払ずみに至るまで年五分の割合による各金員をそれぞれ支払え。

二  原告らのその余の請求をいずれも棄却する。

三  訴訟費用はこれを六分し、その一を被告の、その余を原告らの負担とする。

四  この判決は、原告らの勝訴部分に限り、仮に執行することができる。

事実

原告ら

被告

(請求の趣旨)

(請求の趣旨に対する答弁)

1(主位的請求)

1原告らの請求をいずれも棄却する。

2訴訟費用は原告らの負担とする。

(一)被告は、原告らに対し、金二五七万五二八〇円及び内金二一四万九〇三〇円に対する昭和五三年七月二六日から、内金四二万六二五〇円に対する昭和五四年六月二五日から各支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。

(二)被告は、原告らに対し、昭和五四年七月以降毎月二五日限り金四万五八〇〇円を支払え。

(予備的請求)

被告は、原告海老原栄一に対し、金一三三万二七三六円、原告永田正夫に対し、金五八万二一七四円及び右各金員に対する昭和五六年四月一日から支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。

2被告は、原告らに対し、別紙図面(一)に図示するところの別紙物件目録(一)記載の建物の塔屋の東、西、南、北に面した各外壁に各一枚ずつ設置した縦二・五メートル、横五・五メートルの各「サウナ」とネオンで表示する看板四枚をいずれも撤去せよ。

3被告は、原告らに対し、別紙図面(二)に図示するところの、別紙物件目録(一)記載の建物の北東角に存する非常階段の二、三、四階の各おどり場東側に支柱を設置した縦八メートル、横〇・八メートル、厚さ〇・三メートルの、両面(南面・北面)にそれぞれ、「サウナ・西台」、「コインランドリー・ウエスト」、「理容・ハイツ」と表示する看板を撤去せよ。

4被告は、原告らに対し、別紙物件目録(一)記載の建物の外壁、屋上、塔屋外壁並びに別紙物件目録(四)記載の土地を専用使用してはならない。

5訴訟費用は、被告の負担とする。

6 1ないし3につき仮執行宣言

(請求の原因)

(請求の原因に対する認否)

第一当事者

第一

一1別紙物件目録(一)記載の建物(以下「本件マンション」という)は、建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という)の適用を受ける建物である。

一1認める。

2原告ら及び選定者ら(以下「原告ら」という)、並びに被告は、本件マンションの区分所有者であり、被告は、その一階部分にあたる別紙物件目録(二)記載の専有部分を、原告らはその二階以上の部分にあたる別紙区分所有目録記載の専有部分をそれぞれ区分所有している。

2認める。

3本件マンションには、区分所有法に基づく管理組合は存しない。

3認める。

第二管理費用支払請求

一主位的請求

1原告ら及び被告は、別紙物件目録(四)記載の土地を含む同目録(三)記載の土地、及び本件マンションのうち、各専有部分を除く左記の共用部分を専有部分の床面積の割合に応じて、別紙区分所有目録記載の持分割合にて共有している。

1原告ら及び被告が、別紙物件目録(四)記載の土地を含む同目録(三)記載の土地、屋上、塔屋を共有していることは認めその余は否認する。

(一)玄関ホール、廊下、階段室、機械室、エレベーター室、管理人事務室、その他屋上、外壁、塔屋、非常階段等、専有部分に属さない建物の部分

(二)電気設備、給排水衛生設備等、諸設備の配線、配管、エレベーター、火災報知器、集合テレビアンテナ等々建物の附属施設

2(一)右共用部分は、次のように、本件マンションの全区分所有者が共用する全体共用部分である。

2(一)争う。

被告の専有部分は、本件の建築時より原告らのマンション部分とは別個の請負契約に基づき建築され、構造上、機能上別個独立の部分であって、原告らのマンション部分の共用部分を共用できない構造になっている。

すなわち、被告の専有部分は東側面道路への出入口を除いて他には出入口はなく、電気配線、水道配管も原告らとは別にし、原告らの共用部分である廊下、階段、エレベーター等を使用できない構造になっており、右専有部分を利用するための共用部分はない。

(1)屋上、塔屋、外壁、別紙物件目録(三)記載の土地は性質、構造上の全体共用部分である。

(1)認める。しかし、外壁、屋上、塔屋、専地の維持費は管理費、共益費の問題ではない。

(2)玄関ホール、廊下、階段室、エレベーター室は、全体共同部分たる屋上、塔屋へ通じており、一階部分から右各部分を利用することなく屋上、塔屋へ行くことは不可能であり、性質上、構造上の全体共用部分である。

(2)否認する。

(3)監理人事務室も一階部分から通じる構造になっており、性質上、構造上の全体共用部分である。

(3)否認する。

(4)排水配管及び排水桝は、本件マンションに一体のものとして付設され、被告も使用して、性質上、構造上の全体共用部分である。

(4)否認する。

(5)火災報知器、集合テレビアンテナ、避雷針、電話配線の各設備も一体のものとして付設されており、被告も使用し、性質上、構造上の全体共用部分である。

(5)火災報知器、テレビアンテナが一体のものとして付設されていることは認め、その余は否認する。火災報知器は全階が一体となっているが、これは火災の性質上当然であり、管理費負担とは関係がない。

(6)一階店舗用の消火ポンプは、揚水ポンプとともに共用部分たる受水槽内にあり、また火災のときはその水を使用し、性質上、構造上の全体共用部分である。

(6)否認する。

(7)一階北側に設置されている電燈は共用燈であり、その配線、電源は二階以上の共用燈と一体をなしている。

(7)否認する。

(8)一階店舗部分専用のクーリングタワー(冷房設備)用の冷却水は、原告らの飲料水が貯められている高架水槽から配水されている。なお、右高架水槽の水は、これも共用部分たる揚水ポンプで揚水されている。

(8)認める。

クーリングタワーの水は常に循環しているので水の使用量はわずかで、水のくみあげのための電気代もないに等しく、被告が本件マンションの共用部分を共用することとは無関係である。

(二)仮に右共用部分が原告らの一部共用部分であるとしても、区分所有法に基づく規約により、右共用部分は原告らと被告全員の共有とされている。

(二)否認する。

原告ら主張の規約は、被告の一階専用部分とは分離された原告らのマンションのための管理規約であり、第二条、第三条は、マンションの区分所有者の一部共用部分を列記したにすぎない。被告の一階専用部分のために、原告らのマンションの共用部分を性質上構造上共用できないにもかかわらず、被告において、原告らのマンションの共用部分を共有する旨の合意をする理由も実益もない。

(三)右規約の定めがないとしても、被告は、一棟の建物の一部分を有する区分所有であるから、次に述べるように区分所有法一四条の趣旨に基づき、右一部共用部分の管理費を支払う義務を有する。

(1)区分所有法一四条は、管理費支払義務について、共用部分の利用形態を考慮していず、右義務は現実の利用形態に根拠をおいていない。

(2)共同部分の修理保管の良し悪しは、必然的に各区分所有権の価値に影響を与えるので、各区分所有者は自己及び他の区分所有権の価値を低下させないために、一棟のスラム化を防止する義務を負っており、このスラム化防止が管理費支払義務の根拠である。そして区分所有者である以上、各々管理費を負担するのでなければ、スラム化の増進は利用形態を超えて、すべての各区分所有権の価値の低下をもたらすから、不平等である。

(3)被告の所有する一階部分は、店舗用であるから、建物全体のスラム化が被告の区分所有権の価値の低下にただちに反映するが、現在、本件マンション全体は原告らの負担する管理費によりスラム化が防止されている。被告は原告らの負担のうえで、スラム化防止の利益だけを享受しているのであるから、区分所有法一四条の条の原則あるいは同条の趣旨である平等の原則の法理に著しく反する。

(三)争う。

3原告らを含む本件マンションの区分所有者は、昭和四八年八月一日、本件マンションの区分所有者の持分の過半数で、共用部分の維持管理費を以下のとおり決定した。

(一)維持管理費は専有部分の面積(但し壁芯計算による)に応じて負担する。

(二)金額

(1)昭和四八年八月分以降一平方メートルあたり月額一〇〇円(合計額のうち一〇円未満は四捨五入)

(2)昭和五三年九月分以降同じく一一〇円(昭和五三年七月三〇日改定)

(3)昭和五四年八月分以降同じく一三〇円(昭和五四年六月二四日改定)

(三)支払期限、毎月二五日までに翌月分を支払う。

3知らない。

4ところで、区分所有法に基づく管理組合が存しない場合の区分所有建物の共用部分の維持管理に関する区分所有者間の法律関係は共用部分の維持・管理を目的とし、各区分所有者が各持分に応じて費用を負担するとともにそれによって生じた利益をうける(区分所有法第一四条)ことを主な内容とする組合もしくは組合類似の契約関係であり、区分所有者は当該集合建物の区分所有者になることによって当然に、もしくは他の区分所有者との間の黙示の加入契約によって、右組合もしくは組合類似の共同体加入し、それぞれ権利を取得し、義務を負担するのであり、またその維持、管理に関する事項は、費用負担に関する事項を含めて、区分所有者の持分の過半数をもって決定される(民法六七〇条一項、区分所有法一三条一項)。

4争う。

5(一)被告は、別紙物件目録(二)記載の専有部分を所有し、本件マンションの共用部分を共用しているので、区分所有法一四条及び前記3の決定に基づき、右管理費を負担すべきである。

5(一)否認する。

(二)被告の専有部分の壁芯計算による床面積は三五二・二七平方メートルであるから、管理費は次のようになる。

(1)昭和四八年八月分~昭和五三年八月分まで合計金二一四万九〇三〇円

(2)昭和五三年九月分~昭和五四年七月分まで合計金四二万六二五〇円

(3)昭和五四年八月分以降

月額四万五八〇〇円

(二)被告の床面積が原告主張のとおりであることは認めその余は否認する。

6被告は、今後も右管理費を支払わないことを明言している。

6認める。

二予備的請求

1主位的請求1、2、3項と同旨

1主位的請求1、2、3項と同旨

2右共用部分の維持、管理のため、昭和四八年八月から昭和五五年七月まで、以下の費用が支出された。

(一)昭和四八年八月から同四九年七月

金一一九万六九一三円

主な支出項目

電力料、清掃費、エレベーター保守点検費、火災保険料、電灯費、管理人人件費、その他。

(一)認める。

(二)昭和四九年八月~同五〇年七月

金一九一万二五四九円

主な支出項目

前同

(二)認める。

(三)昭和五〇年八月~同五一年七月

金二〇三万八一一二円

主な支出項目

前同

(三)認める。

(四)昭和五一年八月~同五二年七月

金二一一万九四二四円

主な支出項目

消火設備点検料、排水掃除具代、花壇造成費、他前同

(四)認める。

(五)昭和五二年八月~同五三年七月

金二二二万四七一一円

主な支出項目

受水槽清掃費、他(一)に同じ

(五)知らない。

(六)昭和五三年八月~同五四年七月

金二二八万三七二二円

主な支出項目

受水槽清掃費、ポンプ清掃費、水質検査費、清掃用品費、他(一)に同じ

(六)知らない。

(七)昭和五四年八月~同五五年七月

金二三七万〇四二七円

主な支出項目

貯水槽修理費、他(一)に同じ

以上合計金一四一四万五八五八円

(七)知らない。

3(一)被告は区分所有法一四条に基づき右共用部分の管理に要した費用を原告らとともに負担する義務がある。

3(一)争う。

(二)被告の共用部分に対する持分割合は一万分の一七〇六であるから、昭和四八年八月から昭和五五年七月までの維持費のうち被告の負担額は、二四一万三二八三円となる。

(計算式 1414万5858円×1706/10000)

(二)否認する。

4(一)原告らのうち、別紙請求債権目録一記載の原告らは、前記主位的請求3項の定めにしたがって昭和四八年八月から同五五年七月まで別紙管理費一覧表記載の各金員を支出して2項記載の維持・管理に充ててきた。

4(一)知らない。

(二)原告らのうち、別紙請求債権目録二記載の川澄直子、古賀光恵、古賀龍彦、植田文子、前田洋子、佐藤均、黒沢祥子は、前記主位的請求3項の定めにしたがって昭和四八年八月から同五五年七月まで別紙管理費一欄表記載の各金員を、石井康充(専有室番号三〇三号)の前所有者たる下部九州男は、昭和四八年八月から右区分所有権譲渡時である昭和五五年四月まで、

岩田伊佐夫(専有室番号六〇四号)の前所有者たる橋本功は昭和四八年八月から同じく昭和五四年九月まで、

永田正夫(専有室番号七〇三号)の前所有者たる奈良文義は昭和四八年八月から同じく昭和五四年六月まで、

佐藤勇(専有室番号七〇四号)の前所有者たる井上誠は、昭和四八年八月から同じく昭和五四年九月まで、

川北博司(専有室番号八〇三号)の前所有者たる斉藤民穂は、昭和四八年八月から同じく昭和五四年一〇月まで、

それぞれ、前記主位的請求3項の定めにしたがって、

下部九州男は、金四四万六〇二〇円

橋本功は、金三九万八二一〇円

奈良文義は、金二九万八七三〇円

井上誠は、金三一万四九六〇円

斉藤民穂は、金三二万〇三七〇円

の各金員を、

石井康充は、昭和五五年五月から同年七月まで、

岩田伊佐夫は、昭和五四年七月から同五五年七月まで、

永田正夫は昭和五四年七月から同五五年七月まで、

佐藤勇は、昭和五四年一〇月から同五五年七月まで、

川北博司は、昭和五四年一一月から同五五年七月まで、

それぞれ前記主位的請求3項の定めにしたがって、

石井康充は、金二万〇四九〇円

岩田伊佐夫は、金六万八三〇〇円

永田正夫は、金七万〇三三〇円

佐藤勇は、金五万四一〇〇円

川北博司は、金四万八六九〇円

の各金員を、

それぞれ支出して2項記載の維持・管理費に充ててきた。

(二)知らない。

(三)前項で述べたとおり、被告の負担すべき金二四一万三二八三円のうち、別紙負担割合表記載の負担割合によって、右原告ら及び原告らに区分所有権を譲渡した譲渡人らが負担した金員は被告において負担すべきものであり、被告は法律上の原因なくして右金員相当額を利得し、右原告及び譲渡人らは同額の損失を蒙むっている。

(三)否認する。

(四)前記下部九州男、橋本功、奈良文義、井上誠、斉藤民穂はそれぞれ(前記のとおり)各区分所有権(共用部分に対する共有持分権)を、

下部は、石井康充に

橋本は、岩田伊佐夫に

奈良は、永田正夫に

井上は、佐藤勇に

斉藤は、川北博司に

譲渡すると共に右不当利得返還請求権をそれぞれ右各譲受人に譲渡し、いずれも昭和五六年三月一六日到達の内容証明郵便で被告に右債権譲渡の通知をした。

(四)昭和五六年三月一四日原告ら主張の債権譲渡の内容証明郵便が到達したことは認め、その余は知らない。

5したがって、原告らのうち、別紙請求債権目録一、三記載の原告らは、同目録「請求債権額」欄記載の各金員を被告のために損失し、被告は法律上の原因なくして右金員相当額の利得を得ているものである。

5否認する。

第三撤去差止請求

第三

一原告ら及び被告は、別紙物件目録(四)記載の土地を含む同目録(三)記載の土地、並びに本件マンションの屋上、外壁、塔屋を専用部分の床面積の割合に応じて、別紙区分所有目録記載の持分割合にて共有している。

一認める。

二1被告は、別紙図面(一)に図示するとおり、本件マンションの塔屋の東、西、南、北に面した各外壁にそれぞれ縦二・五メートル、横五・五メートルの各「サウナ」と表示するネオン看板各一枚合計四枚を設置して右塔屋外壁を専用使用している。

二1認める。

2被告は、別紙図面(二)に図示するとおり、本件マンションの北東角に存する非常階段の二、三、四階の各おどり場東側に支柱を設置した縦八メートル、横〇・八メートル、厚さ〇・三メートルの両面にそれぞれ「サウナ西台」、「コインランドリー・ウエスト」、「理容・ハイツ」と表示する看板を設置して右部分を専用使用している。

2認める。

3被告は、本件マンションの敷地の一部である別紙物件目録(四)記載の土地を駐車場等に専用使用している。

3認める。

4被告は、本件マンションの屋上を専用使用している。

4認める。

三被告は、本件マンションの外壁、屋上、塔屋外壁並びに別紙物件目録(四)記載の土地につき専用使用権があると主張し、将来も専用使用するおそれがある。

三認める。

第四結論

よって、原告らは管理費用支払請求については、主位的に区分所有法一四条に基づき、金二五七万五二八〇円及び内金二一四万九〇三〇円に対する弁済期後である昭和五三年七月二六日から、内金四二万六二五〇円に対する弁済期後である昭和五四年六月二六日から各支払済に至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金と、昭和五四年七月以降毎月二五日限り金四万五八〇〇円の支払いを、予備的に不当利得返還請求権に基づき、原告海老原に対し金一三三万二七三六円、原告永田に対し金五八万二一七四円及び右各金員に対する原告らの昭和五六年三月三一日付準備書面の送達の翌日である昭和五六年四月一日から支払済まで年五分の割合による遅延損害金の支払を求め、撤去差止請求については、区分所有法五条第一項に基づき、請求の趣旨記載の物件の撤去差止を求める。

(抗弁に対する認否)

一否認する。

(抗弁)撤去差止請求について

一本件マンションの分譲に際し、被告と建物所有者との間で、その共有持分権に基づいて本件マンションの共用部分の管理について次のような規約を合意した。

1被告は本件マンションの敷地の専用使用権を有する。

2被告は、広告物、その他の施設設置のため本件マンションの外壁の一部、屋上及び塔屋外壁の専用使用権を有する。

3規約の改廃は区分所有権者全員の書面による合意により行う。

4この規約は区分所有権者の特定承継人に対して効力を有する。

(再抗弁)

(再抗弁に対する認否)

一1全員の合意がない限り、被告の使用権が存続する旨の規約は、五年を超える専用使用について、五年を超える部分について無効である。

けだし、区分所有権においては、共用部分の分割請求は許されず、区分所有権の共用部分に対する権能は、専ら利用権限であり、これを本質とするので、共用部分に対する利用権の制限は、その区分所有権の本質に対する制限である。物権において、本質的権能に対する制限は必ず有限でなければならない。そこで、民法二五六条は、共有者間の共有物に関する合意の拘束力について五年間の期間制限を規定しているので、民法二五六条の趣旨を類推して、五年を超える専用使用権の合意は、五年を超える部分について無効である。

一1争う。

民法の定める共有権は、最終的に分割により各共有者の単独所有になることを原則とするもので、分割請求を禁止することは、右の共有の原則に反するから分割禁止期間を五年と定めたのであり、これに対し 本件マンションの共用部分は分割禁止が原則であり、両者の共有の性質は全く逆であり、本件マンションの共用部分に民法二五六条を類推する根拠がない。

2本件マンションは昭和四八年八月下旬には引渡しが完了し、規約が成立しているので、右期日より五年を経過した昭和五三年九月一日以降、被告の専用使用権についての規約は無効であり、右期日以来、被告は原告らに対し本件マンションの外壁、屋上、塔屋、敷地について明渡義務を負うのである。

2本件マンションの引渡及び規約の成立が原告主張の頃であることは認め、その余は争う。

二被告の永久の専用使用権を認めた合意は、次の事情により、公序良俗に反し無効である。

二否認する。

1規約締結時の経過

(一)本件マンションは昭和四八年四月頃、販売に出され、この頃売買契約が締結され、八月下旬に引渡しが終了した。右四月頃の売買契約時、本件マンションはコンクリートの外壁と天井が仕上がっていたものの内装は手つかずの状態であった。(なおその一部屋だけ、モデルルームとして完成していた。)当然屋上の広告塔も、一階の看板もとりつけられていなかった。

(一)否認する。

(二)売買契約締結にあたっては、訴外住発株式会社(以下「住発」という)が被告の契約代行人として契約にあたった。住発は、個々の買主に対し、一階にサウナの店舗が開店される予定であることは等しく説明しているが、他の点については、説明にあたった住発の社員により、あるいは、買主の質問如何により説明範囲がことなっていた。したがって、買主の中でも、マンションの外壁や周囲の土地利用権の制限についての認識はことなるが、すくなくとも一致している点は、

(1)販売当時、買主一同を集めて規約内容についての説明が全く行なわれなかったこと。

(2)広告塔や周囲の土地利用について、被告が無料で永久に利用することについての説明がなかったこと。

(3)建物の区分所有者の中に管理費を支払わずに済む住人(被告)がいることの説明がなかったこと。

の三点がある。

(二)否認する。

(三)買主は、売買契約と同時にセットとして用意された管理規約を十分説明されないままに、売買契約締結と同時に契約させられたものである。

(三)否認する。

被告の専用使用権は、売買契約書、高島平マンション規約書に明確に規定されており、買主には、売買契約時までに契約書、規約書が交付されて、被告が説明するまでもなく、買主は、当然被告の専用使用権があることを前提に契約しているのである。しかも、被告は、被告の専用使用権があることから、本件マンションの売買価額を通常より低額にしている。

2したがって、右事実関係及び規約の内容が共用部分に無償かつ永久の専用使用権を被告に与えており、ことさら被告に有利であることからすれば、規約は売主である被告が社会的強者の立場を利用して買主に押しつけたものである。

2否認する。買主は本件マンションを買うかどうか選択の自由があり、契約書、規約書には明確に被告の専用使用権を規定しており、この条件のもとに買主は買いたいから買ったのである。

(証拠)《省略》

理由

一  請求原因第一の一の1ないし3の各事実は当事者間に争いがない。

二  そこで、管理費用支払請求について判断する。

1  別紙物件目録(四)記載の土地を含む同目録(三)記載の土地、本件マンションの屋上、外壁、塔屋が性質、構造上の全体共用部分であり、原告らと被告とがこれらを共有していること、本件マンション各階用の火災報知器、テレビアンテナが全部一体のものとして付設されていること、一階店舗部分(被告専有部分)専用のクーリングタワー用の冷却水が原告らの飲料水が貯められている高架水槽から配水され、右高架水槽の水は揚水ポンプで揚水されていること、は当事者間に争いがない。

2  《証拠省略》によれば、本件マンションは被告が建築したものであり、被告は一階部分は店舗として自ら使用し、二階以上は居住用区分建物とし、敷地の持分権付で一般に分譲したこと、被告と区分建物の買主との売買契約によれば、本件マンションの共用部分は、管理人事務室、ポンプ室、電気室、エレベーター室、階段室、廊下、共用の玄関、ホール、その他建物部分のうち専有部分に属さない部分及びこれに附帯する設備とされ、各買主は右共用部分につき、建物の専有部分(一階店舗部分を含む)の総床面積に対する各戸の有する専有部分の床面積の割合による持分を取得するものとされていること、また、本件マンションの分譲がされた当時被告及び本件マンションの区分建物の買主全員により本件マンションの建物、その敷地及び附属施設の管理又は使用等について区分所有法による規約が定められたが、同規約は右区分建物の売買契約を前提として作成されており、共用部分及び共用部分の共有持分について右売買契約の約定と同趣旨の定めがなされていること、なお右規約においては、専有部分に属さない部分に附帯する設備として共用の各種電気設備、給排水設備、諸設備の配線、配管(ただし専有部分内のものを除く)等が具体的に掲記されたこと、原告らは右区分建物の買主又はその承継人であること、建物の専有部分の総床面積に対する被告所有にかかる一階店舗部分の床面積の割合は一万分の一七〇六であることが認められ、これに反する証拠はない。

右認定によれば、本件マンションの一階店舗部分の区分所有者としての被告は、前記区分所有法による規約に基づき前記本件マンションの共用部分を原告らとともに共有しており、その持分割合は一万分の一七〇六であると認められる。したがって、被告は区分所有法一四条に基づき、その持分に応じて右共用部分の負担に任ずる義務があるというべきである。

3  次に《証拠省略》によれば、次の事実が認められる。

(一)  前記区分所有法による規約によれば、区分所有者は建物又はその敷地若しくは附属施設の管理を被告に委任する旨、各区分所有者は住居部分の面積に応じて共用部分の管理費用の負担に任ずる、管理費用とは固定資産税その他の賦課金、町内会費、損害保険料、機械器具の動力費及び保守費、小修理費、清掃、衛生費、光熱水道費、管理委託費、その他共用部分の維持管理に係る一切の費用をいう旨定められていること。

(二)  本件マンションが分譲された際に各区分建物の買主は被告との間に、それぞれ、買主は、建物、敷地及び附属施設の管理並びに環境の維持に必要な業務を被告に委託し、右管理業務に必要な費用として毎月住居部分一平方メートル当たり金一〇〇円を被告に支払う、支払方法は毎月二五日までに翌月分を支払うものとする、被告は管理費用の一〇パーセントの範囲内の管理報酬を管理費用の中から徴収できる旨の管理委託契約を締結した。被告は右契約により本件マンションの共用部分の管理をしてきたが、被告が管理中支出した管理費の主なものは、被告が雇用した管理人の人件費、エレベーター、屋上にある原告らの飲料水用の高架水槽への揚水ポンプ、共用部分の電燈等の電力料、エレベーターの保守、整備等、火災保険料等であり、その支出内訳は別紙管理費支出年度別内訳表記載のとおりであったこと(昭和四八年八月一日から昭和五二年七月三一日までの管理費用の年度別支出額、内容については当事者間に争いがない。もっとも、昭和五二年度の原告ら主張の支出合計額金二二二万四七一一円は計算上金二二二万五〇二一円が正しい)

(三)  昭和五二年九月、右管理費の値上げ、他の区分所有者らから店舗部分の区分所有者たる被告に対する管理費負担の要求をめぐり、被告と他の区分所有者らの間で紛争が生じ、被告は、昭和五二年一一月四日付書面で被告を除くその余の区分所有者らに対し、管理委託契約の解約を申入れ、昭和五三年七月末で管理業務を終了した。そのため被告を除く本件マンションの全区分所有者が参加する自治会は昭和五二年一一月二七日開催の集会で被告に代わって自治会が共用部分の管理をする旨決定し、また、昭和五三年七年三〇日開催の管理集会において管理の方法、管理費の徴収等については前記被告と被告を除くその余の区分所有者らとの間の管理委託契約の定めるところによることを決定したうえ、昭和五三年八月一日から管理を行っている。管理費については、前記昭和五三年七月三〇日開催の管理集会において昭和五三年九月分から一平方メートル当り金一一〇円に、昭和五四年六月二四日開催の管理集会において、昭和五四年八月分から一平方メートル当り金一三〇円に値上げする旨本件マンションの全区分所有者の持分の過半数に当たる賛成多数をもって決定された。なお右集会の開催に当たっては、被告を含む全区分所有者に対し会議の目的たる事項を示して召集の通知がなされた。本件マンションの共用部分の管理のため昭和五二年八月一日から昭和五五年七月三一日まで管理者たる右自治会によって別紙管理費支出年度別内訳表記載のとおりの支出がなされたこと(もっとも昭和四八年八月一日から同五五年七月三一日までの総支出合計額は前示のとおり昭和五二年度分の合計額に金三一〇円の誤算があるので、原告ら主張の金一四一四万五八五八円ではなく金一四一四万六一六八円が正しい)。

以上の事実が認められ、右認定を左右するに足る証拠はない。

しかして、本件のように管理組合が存しない場合区分所有建物の共有部分の維持管理に関する事項は、費用の負担に関する事項をも含めて区分所有者の持分の過半数をもって決定され、共有関係にある各区分所有者は右決定に拘束されるものと解されるところ、原告らは全区分所有者の持分の過半数をもって決定された右認定の管理費を被告においても支払う義務があると主張する。

4  しかしながら、《証拠省略》を総合すると、本件マンションの一階には、本件建物の東側に出入口のある店舗部分である被告の専有部分と、西側に出入口のある玄関ホール、階段、エレベーター室、管理人室等の共用部分とがあるが、本件マンション内で被告の専有部分から右共用部分へ直接通じる通路はないこと、エレベーターは一階から八階まで、また、北側に取付けられた二つの非常階段のうちの一つは一階から屋上まで、他の一つは一階から八階まで、更に南側に取付けられた一つの階段は二階まで通じていること、右共用部分は通常は専ら二階以上専有部分の居住者が使用するものであり、被告は屋上のクーリングタワーの調整等極めて限られた目的のため時折使用するにすぎないこと、一階部分及び二階以上の部分の排水配管及び排水桝は、すべて一体のものとしてつながっていること、本件マンションの地下の受水槽の中には原告らの飲料水用の揚水ポンプと一階店舗用の消火ポンプがあること、前記管理人は、一階玄関、廊下、階段の掃除、二階以上部分居住者のゴミの整理、揚水ポンプ等の機械の日常の点検等の作業を行っていることが認められる。

前記1の争いのない事実及び右認定の事実によれば、本件マンションの共用部分のうち、屋上、外壁、塔屋、火災報知器、地下の排水配管、排水桝、受水槽は全体の用に供されているが、それ以外の右認定の各共用部分は通常は専ら原告ら二階以上専有部分の区分所有者の用に供されているものであり、前記管理人の仕事も右共用部分を利用する二階以上専有部分の区分所有者に対するサービスの提供という性格のものであると認められる。

しかして、右事実並びに前記3(一)認定の共用部分の管理費用に関する規約の定めを考慮すれば、前記認定の本件マンションの共用部分に関する管理費用のうち、被告が右共用部分の共有者として負担すべきものは、共用部分たる建物、設備の修繕、保守・整備に関する費用、すなわち、前記支出内訳のうち、エレベーター保守点検費、消防用設備の点検料、火災保険料、受水槽等の清掃、修理費に限られ、玄関ホール、廊下、階段、エレベーターを共同利用することから生ずるその他の費用及び管理人の人件費は、専ら右各共用部分を利用し、管理人のサービスの提供を受ける二階以上専有部分の区分所有者が負担すべきもので、被告はその負担義務を負わないものと解するのが相当である。

そうすると、被告が管理費用の前払義務を負うとしても、それは被告が負担義務を負う管理費用を基礎に算定された額に限られるというべきである。しかるに、原告らが被告に対し支払を求めている前記管理費用の額は、被告が負担義務を負わない費用も含む共用部分に関して生じた全費用の支払に当てるべく、それを基礎に算定され、決定されたものであるから、右管理費用に関する決定は、二階以上専有部分の区分所有者にのみ適用されるべきものであって、被告には直ちに適用されないと解すべきである。

したがって、原告らの主位的請求は理由がない。

三  そこで、進んで予備的請求について判断する。

1  本件マンションの一階店舗部分の区分所有者としての被告が、前記区分所有法による規約に基づき本件マンションの共用部分を原告らとともに共有しており、その持分割合は一万分の一七〇六であること、被告が昭和四八年八月一日から昭和五三年七月末日まで、その後被告を除く本件マンションの全区分所有者が参加する自治会が昭和五三年八月一日から昭和五五年七月末日まで、それぞれ別紙管理費支出年度別内訳表記載のとおり右共用部分に関する管理費を支出したこと、右支出された管理費のうち被告が他の区分所有者らとともに負担すべきものは、エレベーター保守点検費、火災保険料、消防用設備の点検料、受水槽等の清掃、修理費であり、それ以外の費用につき被告に負担義務がないことは、前示のとおりである。

2  しかして、被告が他の区分所有者らとともに負担すべき昭和四八年八月一日から昭和五五年七月三一日までの管理費の額は金四五四万八二〇〇円となり、その内被告が負担すべき額は右金額に被告の持分割合一万分の一七〇六を乗じて算出される金七七万五九二二円となる。そして、前記二の3認定の事実に《証拠省略》を総合すると、被告は右負担額を支払っていないこと、並びに請求原因第二の二の4(一)、(二)の各事実が認められ、これに反する証拠はない。

そうすると、右被告の負担額に別紙負担割合表記載の各選定者の負担割合を乗じて算出される別紙請求債権目録の認容額欄記載の各金額が、各選定者及び各選定者に区分所有権を譲渡した譲渡人が本来の負担すべき割合を超えて全体共用部分の管理のため支払った金額というべきである。しかして各選定者及び右譲渡人は法律上の原因なくして右各金額相当の損失を受け、一方被告は右各選定者の損失において右各金額合計相当額の利得を得たというべく、被告は各選定者各自に対し、それぞれ右各金額相当額を不当利得として返還する義務を負うものというべきである。

3  また、《証拠省略》によれば請求原因第二の二の4、(四)の事実を認めることができる(昭和五六年三月一四日に債権譲渡の内容証明郵便が被告に到達したことは当事者間に争いがない。)。

4  原告らが昭和五六年三月三一日の本件第二四回準備手続において被告に対し右不当利得金の返還請求をなしたことは、本件記録上明らかである。

四  次に、撤去差止請求について判断する。

1  請求原因事実(第三、一、二1ないし4、三)はすべて当事者間に争いがない。

2  そこで、抗弁について検討するに、《証拠省略》を総合すれば、被告は、本件マンションの区分建物の売買において各買主との間で「1、本建物の内広告物その他の施設設置のための外壁の一部、屋上及び塔屋、外壁の使用権は被告が保有するものとする。2、敷地の使用権は被告が保有するものとする。」旨の合意をなしたこと、そして前記認定の区分所有法による規約において右売買契約における合意と同一内容の定めがなされたことが認められ、これに反する証拠はない。

右認定事実によれば、被告は、本件マンションの敷地の専用使用権並びに本件マンションの外壁の一部、屋上、塔屋、外壁につき広告物その他の施設設置のための専用使用権を有するものと認められる。また、被告は右専用使用権をもって本件マンションの区分建物の買主の特定承継人にも対抗できるというべきである。したがって、抗弁は理由がある。

3  そこで再抗弁一について検討するに、民法二五六条の規定は、民法の共有が、各共有者がいつでも分割を請求して共有関係を終了させ得ることを本質とするものであるところから、分割禁止の特約に五年の期間制限を設けたものであり、これを区分所有者間の建物又はその敷地等の管理、使用に関する規約の内容たる専有使用権に関する定めに類推適用すべき根拠はなく、右主張は採用できない。

4  次に、再抗弁二(公序良俗違反の主張)について判断する。

《証拠省略》によれば、被告の有する前記専用使用権は無償であることが認められ、また、前記区分所有法に基づく規約の改廃は被告の同意がなければ改廃できないから、結局右専用使用権は被告の同意がなければ消滅しないことになる。そして本件マンションの区分建物の売買においては、買主が被告の右専用使用権の設定を承諾することが条件とされていたことは、前記認定のとおりである。しかしながら、右区分建物の買主は右専用使用権の設定に不満であれば、右区分建物を買わない自由があったのに、あえて右条件を承諾のうえこれを買受けたものと認められ、また、被告の専用使用権の行使が格別原告らの専有部分の使用の妨げになるものとも認められない。

原告らは、本件マンションの区分建物の売買の際被告が前記専用使用権を取得することにつき十分な説明を受けなかった旨主張するが、《証拠省略》によれば、被告の契約代行人として本件マンションの区分建物の売買契約に当たった訴外住発株式会社は、右専用使用権設定の記載ある土地付区分建物売買契約書及び本件マンションの規約書を見せ、本件マンションにおいては右専用使用権が設定される旨説明していることは認められ、これを覆す証拠はない。したがって、右専用使用権につき説明が十分でない点があったとしても、買主としては右売買契約書及び規約書の記載から右専用使用権の内容は大体において理解できたものということができる。

したがって、右専用使用権設定に関する規約の成立経緯及びその内容から、被告が社会的強者の立場を利用、あるいは区分建物買主の無知に乗じて買主に前記専用使用権に関する規約を承諾させたものであると認めることはできず、他にこれを認むべき証拠もない。したがって、公序良俗違反の主張は理由がない。

七  以上の次第で、本訴管理費支払に関する予備的請求は、原告らが各選定者に対する分として各請求債権目録の認容額欄記載の各金額の金員及び各金員に対する昭和五六年四月一日から支払ずみまで民事法定利率年五分の割合による金員の支払を求める限度において理由があるからこれを認容し、右予備的請求のうちのその余の請求並びに管理費支払に関する主位的請求及び撤去差止請求はいずれも失当であるから棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法八九条、九二条、九三条を、仮執行の宣言につき同法一九六条をそれぞれ適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 根本久 裁判官青栁馨は転官のため、裁判官都築民枝は転補のため、いずれも署名捺印することができない。裁判長裁判官 根本久)

〈以下省略〉

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